東京高等裁判所 昭和29年(ネ)2045号 判決
(一)原判決の言渡期日が昭和二十九年八月十八日午前十時と指定され、当事者双方に告知されたことは、本件記録に照し明らかであり、右言渡期日の口頭弁論調書に判決の言渡がなされた旨の記載のあることは、同調書に照し明らかである。控訴人は右言渡期日は開かれたものではなく原判決の言渡はなされなかつたものであり、右口頭弁論調書は虚偽の事実を記載した偽造の調書であると主張するが、当審における証人本吉光明同相川つねの各証言及び控訴人の後見人相川勅男の本人尋問の結果によるも、原判決言渡期日を開き原判決の言渡をなす時間的余地のあつたことを否定するに由なく、また右各供述中には、原判決の言渡がなかつた旨及び原裁判所においては通常民事判決の言渡はなされない旨の供述部分があるが、右供述部分はいずれもにわかに措信し難いものというほかなく、従つて、以上の供述をもつて未だ原判決の言渡のなかつたこと並びに前記口頭弁論調書が虚偽の事実を記載した偽造の調書であることを認めるに由なく、他にこれを認めるに足る証拠がない。しかして、判決の言渡の有無は、口頭弁論の方式に関する規定の遵守に関するものというべく、口頭弁論調書によつてのみこれを証することを得るものにして、前記口頭弁論調書に原判決の言渡がなされた旨の記載のあること前認定のとおりであるので、右調書が偽造のものと認められない限り、他の立証をまたず控訴人のこの点の主張は採用し難いものというほかない。
(二)進んで控訴人の予備的主張につき案ずるに,親子関係の存否のような身分関係の確認は訴に基ずき判決によつてのみ判定しうるところであり、審判において確定しうるものではなく、控訴人主張の審判は当然無効というべきであつて、たとえこれに基ずき身分関係が戸籍簿に登載されても何らの効力を生ずるものではない。従つて控訴人は亡宮野はなの子ではないといわねばならない。